統合型リゾート施設(IR)整備法が7月に成立し、日本でもカジノが解禁になりましたよね。
九州でも長崎県が誘致に乗り出すなど、新たな観光資源として期待されています。
その一方で、「ギャンブル依存症」の懸念が広がっています。
半世紀前から外国人向けカジノがある韓国では、2000年に北東部、江原道に韓国人も入れる唯一のカジノ施設が完成しました。
年間300万人以上が来場し、日本円にして約1500億円を売りあげる巨大カジノに成長しました。
カジノは韓国の地域を救ったのか、江原ランドが経営するカジノリゾート地現地を訪ねてみました。
韓国の首都ソウルからバスで東へ3時間のところに、江原ランドのカジノ施設があります。
2~3月の平昌冬季五輪の会場からも近い旌善(チョンソン)郡の山間部に位置していて、532万平方メートルの広大な敷地に、大型ホテルやゴルフ、スキー場など遊べる空間が広がっています。
一角にそびえるのは、幾何学的なデザインの建物です。
ここがカジノの舞台です。
カジノは夜の方が断然盛り上がる!
江原ランド広報の趙濬秀(チョジュンス)さん(46)によると、カジノはやはり夜の方が断然盛り上がると言います。
午前0時過ぎにカジノに向かってみると、受付に設置されている入場者数を示すモニターに、3906人と表示されています。
この数値はさらに増えて行き、6000人に達すると入場制限になると言います。
5台の現金自動預け払い機(ATM)に挟まれたゲートでは、保安検査を受けて入場すると、すぐに立ち見客であふれるルーレットコーナーがあります。
サンダルや作業着など、ラフなファッションのお客さんもたくさんいました。
韓国のカジノは「韓国人と外国人が一緒に遊べる」と謳ってアピールしていますが、実際のところ、見渡す限り外国人は見当たりません。
これはどういうことかというと、ソウルには外国人を対象としたカジノがたくさんあるため、観光までわざわざ足を運ばないとのことです。
勝っても負けてもあまり変わらない客の様子
ルーレットが回って勝負が試されるカジノ。
勝負の結果はお客さんにとってあまり重要ではないらしく、負けたからといって感情をむき出しにするようなお客さんは少ないです。
カラフルなチップが「ディーラー」と呼ばれる店員さんとの間で動き回るだけです。
チップに交換するための50万~100万ウォン(5万~10万円)の札束は、台のポケットに次々と吸いこまれていきます。
カジノに慣れていない人だと、目が回るような勢いに感じるでしょう。
韓国でカジノ依存症が続出か
楽しく行われているカジノですが、韓国では最近、カジノ依存症の危険性が問題視されているということです。
一度カジノ依存症になってしまうと、完治が難しいと関係者は語ります。
1日のうち、平均8000人のカジノ利用者がいて、そのうち約6割は依存症だと言います。
一度依存症になってしまうと、完治するのは極めて困難のようです。
どうして韓国人はカジノ依存症になりやすいのか
カジノを開設して以来、2千人以上が自殺したと推測されています。
地元にはカジノで費やす資金を借りるための質屋がズラリと並び、カジノで買った人向けの風俗店も増えました。
財産を失って家族との関係が悪化し、サウナを泊まり歩く「カジノホームレス」も出てきています。
どうしてこれほどまでにカジノに入れ込みすぎてしまう人が増えたのかというと、まず韓国には、日本のようにパチンコの施設がなく、競馬や競輪も少ないです。このようにギャンブルに乏しい環境だったため、元々ギャンブルに不慣れだったことにつけ加え、勝負に熱くなりやすい気質も関係して、カジノにおぼれてしまう人が多いのではと考えられます。